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天命と共に 【文豪ストレイドッグス】 第三者目線

第9章 本編 第16章 文豪ストレイドッグ


「エリスちゃんっ!」

徳冨から受けた傷を抑えながら窓へと走り、身を乗り出して覗き込んだ森はエリスに向けて声を上げた

風を切るように森の横を通り過ぎるエリスは窓から落ちて行く徳冨を追い掛ける、そして、伸ばされた血に濡れた徳冨の手を掴んだ

徳冨と共にゆっくりと下降して行くエリスは地面へと降り立った

「嫌だ……血が付いたじゃないっ!」

エリスが顔を歪ませながら徳冨の手を掴んだ際に付着した血を払っている間に昇降機から降りてきた森が姿を現した

「エリスちゃん、徳冨君は」

「其処、」

森の問いにエリスは血のついた手を振り払いながら不機嫌そうに指し示す、彼は其方へと視線を向けると血を流しながら横たわっている徳冨を見つめた

「そう、ありがとう……エリスちゃん」

「……お礼を言われても嬉しくないっ! リンタロウがそうする様に仕向けてるんだから」

森から視線を逸らして御機嫌が善くないエリスに彼は苦笑を浮かべる他ない

「エリスちゃん、此方に手を出して」

エリスを労る様に優しく声を掛ける森に彼女は暫しの後に素直に手を差し出すと何処からか取り出したハンカチで彼女に着いた血を拭き取る

「それよりも、リンタロウ」

「ん? 何だい、エリスちゃん」

「何で徳冨を私に助けさせたの」

エリスは率直な疑問を森にぶつけた、彼が徐に顔を上げて彼女の顔を見つめると、矢張り、腑に落ちないと言った様子だった

それに森は表情を変えずにエリスを見つめたが、彼女もまた、彼と同じく表情を変えずに言葉を紡ぐ

「此れだけ血を流せば死ぬでしょ、普通……こんな事までして助ける意味、あったの? それに徳冨はリンタロウに逆らったのよ、立派な背信行為! 真逆、庇ったの?」

捲し立てるように森を追及するエリスに彼は小さく笑みを浮かべた
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