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天命と共に 【文豪ストレイドッグス】 第三者目線

第9章 本編 第16章 文豪ストレイドッグ


ーー話は少し遡る、橋の上でとある青年が脱兎の様に走り去ってしまった方向をいつまでも見つめていた

「行っちゃ駄目だ……行ったって、君が哀しむだけだよ
 あの子はーー君の想い人はもう……手遅れ、なのに……」

突き飛ばされた青年はその場で座り込んだまま、茫然と悲しみを含んだ声で呟いた

「乱歩、遅い故、迎えに来たぞ……何を座り込んでいる、」

その時、乱歩と呼ばれた青年の前に翠色の着物を身に纏い、その上に黒物を羽織った和装の男が風に靡く銀色の髪を抑えながら立っていた

「……人に、ぶつかった……それも、2回も、」

しかし、青年の持ち味でもある、誰彼構わず口が回り、喋り倒すような、溢れるようないつもの元気は成りを潜めており、何処か静けさを感じる彼に男は疑問を抱いていた

「そうか、それは災難だったな……」

しかし、青年は男が返した言葉に口を開くこともなければ、座り込んだまま動こうともしなかった

「乱歩……?」

矢張、大人しい……いつもならば、湧水が涌き出てくるように次から次へと言葉を発する青年だが、今はそれがない

いつもと違う青年の言動に違和感を覚えた男は首を捻りながら彼を見つめると、漸く徐に口を開いた

「ねぇ、社長……」

しかし、それは今にも消え入りそうな……小さな声であった

「……何だ、」

「"あの子達とは……やっぱり会えたよ"」

ーー男は青年の言葉を理解しかねていた

先刻からの青年の不可解な言動に社長と呼ばれた男は眉を潜める
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