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天命と共に 【文豪ストレイドッグス】 第三者目線

第7章 本編 第14章 戻れない場所


「説明が欲しいな」

ーー此処はマフィア地下収監所

太宰が現場に到着すると、先刻まで生きていた者達が壁や床に凭れて、横たわっていた

死んで未だ間もないのか、鮮やかな赤色が身体を伝って滴り、床へと留まり、広がる

それは太宰が罠に掛け、捕虜として生捕にした筈のミミックの兵士達の成りの果てだった

想定外の状況に太宰はこの場を任せたマフィアの構成員に開口一番に尋ねる

彼等はいずれも、太宰の部下達だ

彼等は重い口を開き、静かに語り始めた

「マフィア傘下のカジノを襲撃したミミックの尖兵を計画通り、昏倒性のガスで捕らえました、1人は自殺しましたが、残りの3人は此処に運びました、仲間の情報を吐かせる手筈でした……奥歯に仕込んだ自決用の毒薬も取り外しました」

「それは知ってるよ、全て私の計画通りだからね……聞きたいのはその次だ」

静かな怒りを含んだ太宰の先を促す言葉に部下は怖気付いたのか、声を震わせながら言葉を紡いだ

「そっ……想像よりも早く、兵士の1人が目覚めました、手枷を嵌める前に、その兵士は我々から銃を奪い、恐らくは余計な事を喋らせない為の口封じとして、仲間の兵士を射殺しました、そして、我々に襲い掛かってきました、それをーー」

「それを僕が遮断した」

構成員の言葉を引き継いだのは後方から徐に歩いて来た芥川龍之介であったーー

構成員の合間を縫って歩み寄ってくる芥川に太宰は静かに視線を向ける

「何か問題でも?」

「成程ね、いや……問題等何も無いよーー不撓不屈の恐るべき敵兵士を倒し、仲間を守ったわけだね、芥川君、全くもって素晴らしい……君の異能でなければ、そのような強敵を一撃のもとに倒す等出来なかったろう、流石は私の部下だ」

淡々と語る大宰は一見、芥川を賞賛する様にも見えるが、表情が伴っていない、肩を竦める様に彼は言葉を続ける

「お陰で捕らえた敵兵士は3名共死亡だ、罠を張ってまで苦労して生捕にした兵士をね、此れで手掛かりはなくなった」

皮肉を含んでいる大宰の言葉は更に続く
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