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天命と共に 【文豪ストレイドッグス】 第三者目線

第1章 本編 第2章 始まりは、


珍しくその日、福沢は外出をしていた

社へと戻った福沢は社長室へ続く、廊下を歩いて行く

ーーというのも、社長室はこのフロア内でも1番奥ばった場所にあるため、少々遠いのだ

「お帰りなさい、社長」

「嗚呼、」

「先方との打ち合わせ、お疲れ様でした、後で社長室にお茶をお持ち致しますね」

その道中、秘書である春野が外出先から戻った福沢に労いの言葉を掛ける

「頼む、」

歩みを止める事なく、福沢はすれ違い様に春野へ一言、告げる

その時、突如福沢は立ち止まり、微かに話し声が聞こえる事務所の方へ視線を向ける

そして、胸へと手を当て、身に纏っている着物に皺が出来るほどに握り締める

しかし、視線は釘付けになった様に、事務所の方へ向けたまま、佇んでいた

「社長?」

福沢は春野の呼び掛けに、我へと返って彼女の方へ視線を向ける

「どうかなさいましたか?」

福沢が春野に視線を向けると、彼を心配する様に顔を覗き込んでいた

「……否、何でもない」

福沢は平静を装う様に告げると共に、胸へと当てていた手を袖の中へと仕舞う

そして、再度、事務所へと視線を向ける

「客か、」

福沢の意図に気が付いた春野は彼の言葉に小さく頷いた

「えぇ、依頼人です、異能力者に狙われているので護衛をして欲しいとの事で……」

此処、横浜の地で斬った張ったの荒事を領分とする武装探偵社ではその様な依頼は珍しくない

ーー寧ろ、日常茶飯事であった

「そうか、」

春野の話を聞き終えた福沢は一言告げると再度、社長室へ戻る為に歩き出す

しかし、開かれていた扉に差し掛かると福沢はまるで、何かに導かれる様に、惹かれる様にーーふと、視線を投げ掛けた
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