• テキストサイズ

【ヒロアカ】みんな誰かのヒーローで

第4章 体育祭、それぞれの準備




(心操くんみたいに、宣戦布告するつもりは毛頭なかったけど…)

私も頑張るよって、拳を作りたかったな。
そう言えば、心操くんの手―――…







「…い……、オイッ!!」

「!、わっ」

「聞いてんのかこら」

「えっ!な、何を…?」

「……」

「かっちゃん?」


あ、今凄くイラッとした顔をされた。


「余計なこと考えてんだろ」

「えっ」


思わずドキッとしてしまった。
そんな私の反応を見て、かっちゃんは益々イラッとした顔で「テメェも大概クソナードだかんな」とぼそりと言われた。

え?私がクソナード…?!
思わぬワードに気を取られていると、




「……来いや」

「え?」

「俺ン家」

「な、なんで?」

「家庭科の教科書、貸したる」


帰り道、ちょっと寄るぐれぇで済むだろ、と。あぁ、明日の1限は家庭科だという話を覚えていてくれたのか。


「お前、相変わらず朝遅刻ギリギリなんだろ」

「え!?なん、なんで知って…!!」

「おばさんから聞いた」


正しくはババァがおばさんから聞いた、とのこと。お、お母さん達、仲良いな…じゃなくて!


…なんだろう。
何か、居心地が 変だ。

かっちゃんが、優しい。
いや、優しくないし、ぶっきらぼうだけど。
普通に振る舞おうとしてくれてるのがわかる。
……多分、多分だけど、かっちゃんが困ってる。


それは私を“モブ、ザコ”と間接的に言ってしまったからなのか。あるいは、普段繋がることのない手が繋がっているからなのか。
どちらにせよ、かっちゃんを困らせているのが今の私なら、もう…………











「――――、いいや」

「あ?」

「だから、いいの。大丈夫!」



自分でも何が大丈夫なのかわからないが。

何か、もう。
かっちゃんに気を使わせるこの空気も、この自意識過剰な気持ちも。

……かっちゃんの大きくなった、この手も。

この感じた違和感を紐解く勇気は、今の私にはない。きっと、色々と耐えられない。


それに――――――、








「私、用事あるし!




これからバイトなの!」




「は?」





―――タイムリミット、だ。








/ 174ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp