第3章 《僕》のオリジン
1番の憧れのヒーローは間違いなくオールマイトだけれど
アザミちゃんのように当たり前に人を救える、そんなヒーローになりたい
「それにさ!私に追いつくんでしょ?」
「!、…うん」
「待ってるからね!」
「…うんッ!!」
“ヒーロー”
―――そう、諦めなきゃいけない夢だった
「緑谷少年!」
「オールマイト!」
「昨夜の少女は、コレかな?!」
オールマイトは小指をピッと立てる
「え?それって…」
恋 人
「んな?!!!」
「なんだい、違うのか!」
「僕まだ何も言ってませんけど?!」
「だってキミ、あの少女にキッス…」
「うわああああ!!オールマイトッ!!どこから見てたんですかあーーーーーっ!!!?」
―――諦めなきゃいけない夢だったのに。
その夢に向かって必死に伸ばし続けた手を、導いてくれた人や助けてくれた人たちのおかげで僕は今、ここにいる
10ヶ月後、雄英高校入試当日、2月26日
朝6時の海浜公園
オールマイトから僕へ個性の授与式が始まる
「最初から運良く授かったものと、
認められ譲渡されたものではその本質が違う!
肝に銘じておきな
これは君自身が勝ち取った力だ」
僕はオールマイトから力を授かることができた!
今日は試験当日だ。これから大急ぎで帰ってシャワー浴びて、それから…っ
「あれっ、デクくん…?」
「わっ、アザミちゃん?!どうしてココにいるの??」
「朝のトレーニングだよ!
あれ、デクくん……体つき変わった?急に大きくなった?」
「え?まあ、10ヶ月前と比べたら少しは」
「ううん、違うよ。そうじゃなくて……」
僕はオールマイトから力を授かった(とは言うもののオールマイトの毛を食べただけの)時を思いだす
『なんの変化も感じられませんけど…』
『2〜3時間もすれば実感湧くさ』
オールマイト本人がそう言ってたのに、君はすぐさま感じ取ったんだ
「朝焼けのせいかな…
デクくんが、デクくんじゃない違う人に見えたの
君、本当にデクくん…?」
―――――夢は現実に。
最高のヒーローになるために、その過程である挫折さえリアルに
こうして僕の夢の第一歩である、雄英での高校生活が始まった
《第3章 《僕》のオリジン》 終