第1章 《 》の幼馴染
僕の個性のこと、アザミちゃんにはちゃんと言わなきゃいけないと思っている。
だけど本当の事は言えないし、なんて説明したらいいか…ッ
「えっ、あれ冗談じゃないよ。本当だよ!」
アザミちゃんはアイスをペロペロと舐めながら「私の学年のヒーロー科、何人か除籍されてたもん〜」と何食わぬ顔で話す。
「まっ…マジか!!
…って、あれ?アザミちゃんも個性把握テスト受けたの?
アザミちゃんは…経営科、でしょ?」
「うん」
―――そう。
アザミちゃんは僕やかっちゃんとは違いヒーロー科ではなく、経営科だ。
「だって、雄英高校だよ?みんな受けさせられたよ〜!」
何事もないように笑うアザミちゃん。
今なら聞けるだろうか?
ずっと聞きたかった事がある
「い、今更、なんだけどさッ……」
“アザミちゃんは、今もヒーローが 好き?”
「ん?なあに?」
「……っ、ううん、なんでもない!」
「そーなの?変なデクくーん!」
あはは、と笑うアザミちゃん。
今、この質問をしたら。
アザミちゃんの笑顔が消えてしまいそうな気がして、言えなくなってしまった。
だって、僕は…
「デクくん!改めて、これからまた同じ学校だね!」
アザミちゃんの笑顔をこれからも変わらず、ずっと見ていたい
「またさ!たまには一緒に帰ろうよ?」
僕の手を引きながら夕焼けに向かって歩く君は眩しくて、つい目を細める。
アザミちゃんの笑顔は、いつだって眩しくて
「ね、デクくん!」
この笑顔をずっと守りたいなんて、思ってしまったんだ。
―――ううん、ずっと思っていたんだ。
こんな日々がこれからも続くんだと、僕は信じて疑わなかった。