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【ヒロアカ】みんな誰かのヒーローで

第3章 《僕》のオリジン




“あのゴミだだらけの海浜公園に人間がいるんだよ”

“どうやら掃除をしているようだ”






アザミは個性の関係の、とある仲間内から聞いた噂話を思い出していた。


(ふぅん…あんなとこを掃除?)


あの海浜公園は海流の関係で漂流物が多く、不法投棄もまかり通っている。地元の人間は近寄らない場所だ。


(噂が本当か、行ってみようかなあ)


ランニングがてら行くのも良いかもしれない。
アザミはそんな事を思いながらバイト先のスーパーで夕飯時の品出しをしていた。



「あら、アザミちゃん!」

「わ!デクくんのお母さん!こんにちは!」

「アザミちゃん、ここでバイトしてるの?」

「そうなんです!最近始めたばかりなんですよ〜」

「ふふ、頑張ってるのねぇ!えらいわぁ!」



緑谷の母…緑谷引子は両手をぽんっと合わせ朗らかに笑う。
彼女の優しい雰囲気につられアザミはのほほんと世間話に花を咲かせてしまった。



「あっ!そうよ、お喋りしてる時間なんてなかったのよ…忘れてたわっ」

「私の方こそ、引き止めちゃってごめんなさい!」

「ううん、違うのよ!
出久がね、最近食事メニューにうるさくて…」

「そうなんですか」


アザミはなんの気無しに返答するが、緑谷引子の言葉で思考が止まる。


「トレーニングしてるみたいなの





確か海浜公園あたりで」








「え…?」


え、海浜公園にいるのは、デクくん…?
いやいや、まさか…


「…そ。そうなん、ですか」






『アザミちゃんと同じ、雄英高校に

ヒーロー科に、行きたいんだ…っ!!』



アザミはあの日の、緑谷の言葉を思い出していた。










「はぁ…はぁっ」


現在の時刻は20時過ぎ。
アザミはようやく放課後のバイトを終え帰宅―――ではなく、海浜公園へ向かっていた。


「〜〜もうっ!
なんで今日にかぎって長引くかなぁ、バイト…ッ」


こんな遅い時間なのだ。ましてや中高生が無闇に出歩く時間帯ではない。
噂通りそこに誰かいたとしても、もう誰もいないかもしれない。



「居ません、よーにッ…」



(どうかデクくんが、そこにいませんように)


アザミはそう願いながら走り続けた。


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