第3章 《僕》のオリジン
本当はずっとわかっていた。
だけど、認めたくなくて、向き合いたくなくて。
見ないように、見ないように―――って。
「…せっかく、応援してくれたのになぁ」
アザミちゃんだけは、応援してくれていたのに。いや、アザミちゃんしか応援してくれる人は居なかったのだ。
ずっとずっと、アザミちゃんにしがみついていたのだ。優しいアザミちゃんはそんな僕を振り払うことはしなかった……ううん、きっと出来なかったんだ。
「負担、かけさせちゃってたなぁ…」
ヘドロヴィランと遭遇し、現実を突きつけられた。
かっちゃんを助けようと身を挺して飛び出してしまったものの、現状は何一つ変えられなかった。むしろ僕はヒーロー達に物凄く怒られ、逆にかっちゃんは称賛された。
かっちゃんにも改めて言われてしまったではないか。
『てめェに助けを求めてなんかいねえぞ…!助けられてもねぇ……!!
無個性の出来損ないが………―――!!!』
……かっちゃんの言うとおりだ。
何か出来たわけでも、変わったわけでもない。
でも良かった。
これで、ちゃんと………………
―――そう、思っていた矢先だった。
憧れのヒーロー、オールマイトが言ってくれた。
「小心者で“無個性”の君だったから!!!
私は動かされた!!」
何か出来たわけでも、変わったわけでもないと思っていた
「トップヒーローは学生時から逸話を残している…彼等の多くが話をこう結ぶ!!」
僕の心臓かドクン、ドクンと大きく鳴り始める
「“考えるより先に体が動いていた”と!!」
僕はなぜか母とアザミちゃんの言葉を思い出していた
“ごめんねぇ出久、ごめんね…!!”
「君も
そうだったんだろう?!」
一際にドクンッッと体を突き破られそうになるくらい心臓が鳴った
(違うんだ、お母さん……
あの時、僕が言ってほしかったのは)
オールマイトのこれから言う言葉と、アザミちゃんが言ってくれた言葉が、姿が、何故か重なった。
「“ 君 は
ヒ ー ロ ー に な れ る ”」
これ以上の衝撃はなんてあるか…?!
僕はその場で泣き崩れた。
けれど、ヒーローになるのは決して生易しいもんじゃなかったんだ!