第2章 USJ襲撃事件
「……デクくんの事、何でも知ってるって思い込んでたの。だから、個性のこと知らなくて……八つ当たり、しちゃった。
本当に、ごめんね」
「僕こそ!!ちゃんと、言えなくてゴメン…」
「許して、くれる?」
「許すも何も…っ!アザミちゃんは悪くないよっ!」
「デクくんは優しいなぁ、ありがとね」
「ねぇ、アザミちゃん…」
「なあに?」
「その…
アザミちゃんは今も、ヒーローが好き?」
緑谷は何故、今こんなことを問うたのかわからない。しかし、問わずにはいられなかった。
「―――キライ、だよ」
「そっ………かぁ」
“キライ”
まるで緑谷自身を否定されているような気がしてしまい、ズキンと胸の奥が痛む。アザミのことを直視できなくて俯向いた。
「…他人のために、簡単に命を投げ出しちゃうヒーローなんて…
自己犠牲ばっかで、キライ
…でも、私の好きな人達は、みんなヒーローを志すんだ」
「アザミちゃん…?」
「デクくんが雄英に、ヒーロー科に来てくれて嬉しいよ。でも、デクくんの個性は、なんか……なんか、嫌だ。
デクくん、怪我してばっかなんだもん」
「僕…まだ、個性がうまく使えてなくて」
「ねぇ、個性が出たのって、――――――あのとき?」
「あのとき?って…」
「私、感じたの。…うまくいえないけど、第六感的な?
雄英高校の、入試試験の日―――」
『君、本当にデクくん…?』
《第2章 USJ襲撃事件》 終