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【ヒロアカ】みんな誰かのヒーローで

第2章 USJ襲撃事件




あぁ、この人を―――

アザミちゃんを、泣かしてはいけない












(本当に、僕は何をやっているんだろうッ…)



「アザミちゃん…ッ!」

緑谷は自分の頬に触れているアザミの手に、自分の手を重ねる。

「心配かけて、辛い思いさせて、ごめんね!」

「ん…」

「もう、アザミちゃんに…そんな顔、させたくな"い"よ"…ッ!」

「うん…うん…っ!」


アザミをこれ以上悲しませないように、心配させないように。そして泣かせないようにするために。


力強く言いたかった、のに。


昂る感情が抑えられなくなり、緑谷の大きな瞳からボロボロと大粒の涙がこぼれ落ちた。


「ふ…なんで、デクくんが泣くの?」

「だって、アザミちゃんが…ッ」


うわあん!と泣き出した緑谷の涙を「ほら、もう泣かないで」とアザミがハンカチで拭う。
そこにはお姉さん風を吹かせるいつものアザミと、相変わらず泣き虫の緑谷が居た。











「……そういえばさ。思い出したの、私」

「?、何を?」


緑谷の涙も落ち着き、二人は再び帰路に着く。先程の重苦しい空気はもうどこにもない。


暗い夜道をアザミと緑谷は手を繋いで歩く。


手を繋いだのは、アザミが泣いてる緑谷を落ち着かせるためか。または緑谷がアザミを安心させるためか。


どんな理由で手を繋いだのか分からないが、2人の間にあるのは華やぐ気持ちやトキメキ等ではなく、相手を思いやる親愛からだった。
よく手を繋いでいた幼い頃と今はもう色々異なるが、あの頃に戻ったような気持ちで下校する。



「……私も、昔は上手く個性を使えなくて。隠してたこと、あったよね」

「それって、幼稚園の頃の話だよね?」

「…うん。ごめんね、自分の事は棚にあげて」

「そんなこと、僕思ってないよ」


いつの話ししてるの、と緑谷はふふっと優しく穏やかに笑う。緑谷の柔らかい笑顔が街灯に照らされ、まるで淡い光に包まれるようでアザミは一瞬目を奪われた。



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