第2章 USJ襲撃事件
「来れないなら、そう言ってくれれば良かったのに…」
アザミは不服そうに口を尖らせ「私とミリオの仲じゃない」と通形をジト目で睨む。
「結果としてサボったことはゴメン。
でも、サボるつもりなんてなかったんだ!」
「インターンとかあって、来れなかったんでしょ?」
「うん、そうだったんだよね!」
「本業、優先していいんだよ?無理しないで!」
「無理なんてしてない!
アザミに、会いたかったんだ!」
「は…はぁ?!もー嘘ばっかり!」
面と向かって“会いたかった”と言われ、アザミは思いもよらず面食らい僅かに耳を赤く染める。
「嘘じゃないやい!最近、廊下でもすれ違いもしないし…!」
「だってインターンに行ってたら、ミリオは学校にいないじゃない!」
「そうなんだよね!だから図書委員の仕事は一緒にやりたかったんだ!」
通形はインターンの機会が多く、学校に不在がちだ。
インターンが始まる前は通形とアザミは顔を合わせる機会も多かったため、それなりに親しい間柄だったりする。
「それに、アザミに会うと元気が出るんだよね!」
「ふ、ふーん、何でよ?」
アザミは動揺するも、いつも通りの平静さを装いながら通形に問う。
「頑張ってるアザミを見たら、俺も頑張ろうって思うのは当たり前じゃないか!」
「な、なにそれっ…!」
「俺が早くプロになって事務所立ち上げないと、アザミを雇えないんだよね!」
「わ、私は大きい事務所の経営関係の仕事をするのっ!ヒーローのプロデュースするの!
…だ、だから小さい事務所には入れませんよーだ!」
アザミは恥ずかしいやら嬉しいやら。
その気持ちをうまく伝えることができず、通形に憎まれ口を叩くしか出来なかった。
「アハハ!じゃあ俺はもっと頑張らないといけないね!」
「そ、そうだよ!大きい事務所で色々勉強して、ノウハウも技術も学んで……
そしたら、ミリオの事務所も大きくしてあげるよ!
……なぁーんてね!」
通形の優しさに甘え、大口を叩くアザミ。冗談口調で調子に乗ったまま通形の方へ振り向けば、真剣な眼差しで笑っている彼がいた。
「……ミリオ?」
アザミは一瞬、呼吸をするのを忘れてしまった。