第2章 USJ襲撃事件
『…ッ、ミリオの、バカっ』
『俺は落ちこぼれた!本当の事さ。
どうして、アザミがそんなに怒るんだい?』
『…わからないの?』
アザミが足を止め、通形と向き合う。
『ミリオが…
ミリオが、凄いヒーローになるって…
信じてるから、悔しいんじゃないっ!』
『――っ!』
自分の事のように怒り、悔し涙を滲ませるアザミに通形は言葉が見つからなかった。
* * *
「ふふ、そんなこともあったね」
「でも落ちた服は拾ってないよ」と、アザミは冷静にツッコみを入れる。
「そうなんだよねー!
だから、ちんちn「そして!!
私の読みは当たって、ミリオは今やビック3!」
アザミは通形の言葉を慌てて遮る。
得意気に「私の感って当たるんだよね。第六感的な、野生の勘?個性の感?みたいな」と胸を張る。
「すごいよねー!本当に当てたよねー!」
「なんて、偉そうに言ってみたけど!
ミリオが頑張ったから…「俺は救われた」
「――え?」
「あの時、アザミに救われた!
アザミがヒーローみたいだったんだよね
だから、アザミが落ち込んだ時は俺が救う!
また一緒に自主練しようぜ!!」
通形は親指を立て、力強くアザミに言った。
「それは、ヤダ」
「エッ」
アザミのひと言に通形が凍りつく。
まさか断られるとは思わなかったのだろう。
「ミリオの相手なんて、もう私じゃ力不足だもん!」
「いや、アザミを元気づけるための自主練なんだよね!」
「尚更イヤ。ミリオ、加減できないもん!」
「…ゴメンて!」
「でも、」
アザミは次の言葉を発するために、一呼吸置く。
「……私は私なりに、自分が出来ること頑張るよ」
「うん、アザミはそうでなくちゃ!」
「…あ、それより!図書委員の仕事してよねっ!昼休み、来なかったでしょ!?」
「う"…!そ、そうなんだよね〜行けなかったんだよねー!」
アハハと陽気に答える通形をアザミはキッと睨む。アザミの本気の怒りに通形は慌て、こちらも本気で「ゴメンて」と謝罪し頭を下げた。