第2章 USJ襲撃事件
「アザミだって、いつも先を見てるじゃないか!
だから、アザミが頑張っていないなんて言う奴がいたら俺は許さない!」
(…なんて、心強いんだろう)
アザミは通形の力強さの中に溢れる優しさを感じ、「あぁ、ミリオはヒーローなんだなぁ」と思わされた。
「ありがとね、ミリオ
やっぱりヒーロー科って凄いね」
「よせやいっ!」
しかし、本音は言わない。
アザミから見れば、通形は“ヒーローになる”という目標達成しているようなものだ。しかし彼はそれに甘んずることはなく、更に向こうへ駆け抜けようとしている。
互いに目指しているものは異なるものの、自分なんて通形の足元にも及ばない。
(それでもやっぱり、自分だけ立ち止まっているのは…)
友として 悔しいではないか
「おかげで、だいぶ元気出たよ!」
―――今に、見ててよね!
そんなことを心の中でアザミは叫んだ。
「困ってる人が居たらお節介焼いちゃうのは、ヒーローの基本だろ?」
「ふふっ、はいはい!」
「そういえば、この間のお笑い見た?見たに決まってるよねー!すっごく面白かったんだよねー!」
通形は携帯を制服から取り出し「コレ見たらもっと元気になるよ!」と動画を再生する。
「えー?ミリオの面白いって、私にはイマイチなんだよなぁ」
小さな画面のため、二人は自然と寄り添う形となる。穏やかな高校生活を楽しむ、ほんのひと時―――
「あなた達!まだ下校してなかったの?!
今すぐ帰りなさい!!」
慌てた様子で先生が図書室に飛び込んできた。
「え?まだ担当時間、終わってませんけど…」
「ヴィランが…ヴィランが侵入したのよ!」