第6章 体育祭、それぞれの想い
《流石1000万ポイント保持者!
いや、ビッグ3の通形ミリオといったところかァ?!
個性の透過を活かしつつ、鍛え上げた身体能力でポイントを奪い取っていく―!!》
ミリオは大勢に総攻撃されても、個性の透過で受け流す。
「P…Powerrrrrrrーーーーーー!!!」
そして拳一振りで相手の騎馬を倒していった。
「よーし!みんなかかって来い!!」
圧倒され皆距離を取っていく。
そう簡単にミリオから1000万ポイントのハチマキを取れるわけがなかった。
「うわぁ、やっぱミリオの個性技術は凄いね!」
猫柳さんは呑気そうな事を言っているが、緊張している様子が俺の肩越しに伝わる。
「猫柳さん、そろそろ行くよ」
「うん…」
どうにかして猫柳さんを元気づけられないだろうか。
「猫柳さんの個性は知られていない、これはチャンスだ。
そして、何があっても俺が必ずフォローする」
「うん…ありがとう!」
少しは不安を払拭出来ただろうか。
いつもの猫柳さんに戻る。そんな姿にホッと一息つく間もなく…
「いくらビッグ3の天喰でも!
猫に現抜かしてたらやられちまうぞ!」
「猫がハチマキ持ってるぞ!狙えー!!」
周囲の生徒が一斉に俺に攻撃を仕掛け、猫の姿になっている猫柳さんの身体に掛けているハチマキを狙う。そんなことは俺が許さない!
「―――――混成大夥!!」
「うわああ巨大なタコ足だあ!」
「ち、近づけねぇー!」
俺の個性“再現”で、巨大なタコの足を複数再現し、周囲の敵を一網打尽にする。
(現を抜かす訳ないだろ!)
あの猫柳さんと騎馬が組めたんだ。
猫柳さんに迷惑かけるような事はできない!
「甘いぜ天喰!お前の個性は把握済みだ!!」
共に切磋琢磨してきたヒーロー科同士、互いの事はよく理解している。
「天喰くんの個性は、ね」
猫柳さんは俺の混成大夥で表現したタコ足をの上を伝い、音もなく気配を消し、相手に忍び寄る。
猫柳さんに気づく頃には時すでに遅し。
「は?」
「ハチマキもーらいっ!」
素早く風を切る音がした。