第1章 《 》の幼馴染
私は雄英高校経営科、3年K組
―――猫柳アザミ
私の幼馴染は―――…
*
『…うわぁぁんっ』
『ほらっ、デクくん!もう泣かないのっ!』
昔から泣き虫で。
自分に自信がなくてオドオドしてて、世話を焼きたくなっちゃうくらい可愛いデクくんと、
『うっせぇんだよ!!このクソデク!!』
『かっちゃん!そんなこと言わないのっ!めっ』
ガキ大将の乱暴者。
だけど、意外と地頭も良くて身体能力も高い。やたらデクくんをイジメるかっちゃん。
だから、いつも私が仲裁するの。
『はいっ、ふたりとも!仲直りのあくしゅして!』
『ぐずっ…』
『フンッ』
デクくんとかっちゃんは納得してなさそうだけど、私には逆らえない。
私は二人よりふたつ上のお姉さんだから。
私が年長さんで、デクくんとかっちゃんは年少さん。
『ねぇ!オールマイトってしってる?』
『おーる…?』
『しらねェ!』
この頃はまだ二人から見て、私はとてもとても大きなお姉さんに見えていたと思う。
『オールマイトって、すっごくつよくて!すーっごくかっこいいヒーローなの!』
『『へぇぇ…!』』
二人にオールマイトを教えてあげたのは私だった。
『わたし!おおきくなったらヒーローになるの!』
『じゃあオレもなるー!』
『ぼっ…ぼくも、なる!』
まだこの時の二人はオールマイトに憧れていたのではなくて、年上の私に憧れていた。
だから、私がやることを片っ端から真似ていた。
『もーだいじょぶ!わたしがっ!…きたーー!』
『『きたー!!』』
あの頃の二人は可愛かったなぁ。
毎日3人で遊んでいたけど、幼稚園から小学に上がる頃にはお互い別々の友達と遊ぶようになった。
かっちゃんのデクくんイジメは、この頃もどんどん悪化していった。
『うぇ…ひっく』
『なんでデクくんばっかイジメるの!!』
『うるせぇーんだよ!!アザミ!テメェも無個性のヤツなんて庇いやがって!!』
『!、…うっ…ぐずっ』
『泣かないで、デクくんっ
………もー!!かっちゃんッ!!!』
*
「かっちゃん、まだかなー」
かっちゃんと一緒にお昼ごはんを食べたその日の放課後。人気の無い校門前で彼を待つ。