第6章 体育祭、それぞれの想い
「私が雄英卒のサイドキックになったら、少しは名も馳せられるかもしれないし!
雄英には経営科もあるから、活動資金が潤う方法も学べるかもしれない!サポート科もあるし、なんなら何か作れるように学ぶのも…わっ!」
夢語りが止まらないアザミを制するため、担任は彼女の頭に筒状にした紙でポコッと叩いた。
「おーおー、夢があっていいねえ。
じゃ、明日までに進路変更希望書、書いといてね」
アザミは用紙を受け取り職員室を立ち去った。
「アザミ
お前、英雄受けるって本当なんか?」
「……えぇ?!1年生のかっちゃんが何で知ってるの?!」
「アザミちゃんが雄英受験するって、凄く噂になってるよ…あいたっ」
「テメェに聞いてんじゃねーんだわ、クソナード!」
爆豪は容赦なく緑谷を足蹴する。それを見兼ねたアザミは「ちょっと!暴力はんたーいッ!!」と爆豪の頭にチョップを落とした。
「おいアザミ何しやがるッ!!」
「せっかく3人で帰ってるんだから、喧嘩しないでよねっ!」
進路面談後、アザミは緑谷から「今日一緒に帰れる?」と連絡を貰う。緑谷と帰宅しようと昇降口へ向うとなんと爆豪が居たのだ。
「俺はアザミに用があったんだわ!」
「あ、あのっ!やっぱり僕はまた今度で…」
「いいじゃん!3人で帰ればっ」
アザミは緑谷が逃げぬよう、そして爆豪が手を出さぬよう、二人の間に割り込みがっちりと双方の腕を掴む。
「一緒に帰るなんていつぶりだろ?しかも3人だなんて!」
えへへ、と嬉しそうにはにかむアザミを前に、その腕を振り払うことも、その場から立ち去ることも彼らはできなかった。
「私、雄英受けるよ!
そんでヒーローになって、大好きなヒーローのサイドキックになるの…!」
二人が聞きたかったのはその話でしょ?とアザミが問うと、爆豪と緑谷はそれぞれ思うところがあるのか、とても驚いた。しかし彼らはすぐにいつもの表情を繕った。
「…ふん、そーかよ」
「噂、本当だったんだ…!」
爆豪は面白くなさそうに、緑谷は一瞬影を落とすもすぐに尊敬の眼差しをアザミに向けた。