第5章 何でも屋
歓迎会から1週間。
必要書類の申請も通り、ようやく仕事にも慣れて来た。
他隊員達とも他愛なく話せる程度には仲良くなったと思う。
「ねー、ちぃちゃんー。遊ぼ〜」
廊下を走って来た草鹿副隊長に抱き着かれる。
「副隊長、お仕事は大丈夫なんですか?」
「あはは、知らなーい」
キャッキャッと無邪気に笑う。
そりゃそうか、まだ子供なのよね。
十一番隊は隊長である更木さんが書類をやっているのかな?
いや、彼に限ってそんな訳はないか。
「良いですよ。どこに行きますか?」
副隊長を抱き抱えたまま廊下を進む。
まだ軽くて柔らかい。
「んー、甘味処!あんみつ食べたい!」
「分かりました」
「わぁい」
廊下を歩いて行くと様々な人に会う。
「あ、居た!ふくたいちょ!
どこ行くんすか、書類は!?」
「五月蝿いなぁ、つるりん。
書類はオトナの仕事だよ、つるりん!」
「その呼び方やめろっつってんだろ……」
「つーるつーるつーるりん!」
「……書類溜まってるんですか?」
「あ?あー、やべぇ程……っす。俺が言うのもなんですけど、ここ最近はかなり」
「なるほど……草鹿副隊長と甘味処へ寄ったらお手伝いします」
「あ、ありがとうございます、神咲隊長」
「ん?良いの、そんなに畏まらなくて!
他の隊を補佐するのが私の役目だから。
もう少しだけ待っててくださいね」
そのまま草鹿副隊長を抱え、甘味処へ向かった。
甘味処では副隊長が終始ご機嫌であんみつを食べている。
小さな身体のどこにあれだけ入るんだろうって不思議に思うぐらい、どんどん消えていく。
「ふぅ〜、満足!!」
「それは良かったです。ではそろそろ戻りましょうか」
「はーい」
満面の笑みを浮かべる草鹿副隊長。
会計を済ませて、手を繋いで歩く。
お会計金額は今まで甘味処で見たことない額になっていた。