第14章 また寝てねぇだろ。
その後夜通し書類を処理し続け、なんとか始業時間ギリギリに十一番隊の書類を終わらせることが出来た。
あとはこの書類を一番隊に提出して貰えば良いだけ。
「疲れた……」
至急・重要書類はやっておきました。総隊長へ提出をお願いします。
そう書いた付箋を書類の山の1番上に貼り付け、十一番隊舎をあとにする。
執務室から出て大きく伸びをするとコキコキと節々が鳴る。
流石にずっと座ったままだと身体が固まっちゃうなぁ。
自隊の執務室に戻り、残りの書類に手を付け始める。
今日も頑張ろうと気合いを入れると、コンコンと小さく遠慮がちなノック音が響いた。
「はーい?」
「吉良です、入っても宜しいでしょうか?」
「うん、大丈夫です」
「失礼します。
始業早々すみません、書類を届けに来ました。
三番隊の書類に隊長印が欲しいものが混ざっていて、お手隙の際に確認お願いします」
「ありがとうございます。お預かりします」
吉良副隊長が持っていたのは重要度の高い書類。
本来三番隊に回って来る書類の中から、重要度や隊長印の必要な書類は予め十四番隊に振られる手筈になっているのだけど、仕分けも人の手。
完璧ではない。
幸い納期はそんなに近くないから焦ってやる必要はなさそうだ。
「……あの、凄く不躾なことを聞いても良いですか?」
「うん。どうしました?」
言いづらそうにゆっくりと口を開いた吉良副隊長。
忙しなく目を動かし落ち着きがない。
何か嫌なことでもあったのだろうか、悩みごと?
「その……神咲隊長って、よく松本さんと飲むんですか?」
「よくって言う頻度かは分からないけど何度か……2回ぐらいですかね。
それがどうかしたんですか?」
「え!?あ、いえ!
最近松本さんが神咲隊長のことを話していたので気になって。
そんなに深い意味はありませんのでお気になさらず!」
ワタワタと目に見えて焦り始める吉良副隊長。
これ以上は聞いて欲しくなさそうだな、と察して深く追求することはしなかった。
きっとまた乱菊さんが男殺しとか、ありもしない事を言っているのだろう。