第13章 調査終了
「ほらほら、もうお仕事終わりでしょ?行こ!」
「あっ、ちょっと待っ……!」
やちるさんに引っ張られるようにして執務室をあとにした。
バタバタしていたからちゃんと鍵が掛けられたか少し心配だけど、この勢いでは戻れないだろう。
貴重品とか大丈夫だよね、個人情報とか。
「剣ちゃーん!ちぃちゃん連れて来たよ〜」
「遅かったな」
「なんかお仕事いっぱいやってた〜」
「お疲れ様です、更木さん。私に何かご用ですか?」
「書類溜まってて催促されてんだよ」
クイッと更木さんが顎で指した場所には山積みにされた手付かずの書類が。
考えてみれば確か十一番隊で書類をやるのは弓親さんがメインの筈だ。
その弓親さんが任務で隊を離れている間の書類がどうなっているのか、考えるのを忘れてしまっていた。
普段分の書類は引き受けても、任務の間の書類を引き受けるのを忘れていた。
加えて弓親さんは任務明けで今日明日は休み。
「これ、全部ですか……?」
「知らん」
「ですよね……」
更木さんに聞いても答えが返って来る訳もなく。
ざっと目を通しただけでも、至急や重要と書かれた書類も大量に積まれている。
これは徹夜決定かな。
というか徹夜しても終わらない気がして来てしまった。
「とりあえず重要案件と納期の近いものから処理します。
お借り出来る机ありますか?」
「好きにすりゃ良いだろ」
「そう仰ると思ってました……ではここの席お借りしますね」
1番整頓されている弓親さんの机を借りる。
自分の知らないところで使われているのは不快な思いをさせてしまうかもしれないけど、この量を私の隊舎に運ぶよりもここでやってしまった方が遥かに効率が良いだろう。
急ぎの書類から目を通して片っ端から処理していると、俺は帰ると更木さんが言った。
「お疲れ様でした。明日の朝には終わらせておきますので」
書類から目を離さず言葉を返した。
私に押し付けて帰るなんて、という言葉は出て来ない。
私の仕事は各隊を補佐すること。
書類仕事の補佐も私の仕事だ、文句は言えない。
明日までにこの仕事を終わらせて、通常業務に戻らないと十四番隊の書類も滞ってしまう。