第1章 引退、そして始まり
「名を十四番隊という」
「まぁ、そのままですね」
堂々と発表するものの、名は至って普通。
なんの捻りもない。
だが疑問は深まるばかり。
「でも隊が増えたらそれは護廷十三隊じゃなくなるんじゃないのですか?」
「たわけ、話は最後まで聞けいっ。
お主は昔から話の腰を折る癖が……」
「ごめんなさい」
総隊長は昔からお説教が長い。
1度始まってしまえば中々終わることがない。
その為早めに非を認めて謝ってしまった方が楽なのだ。
納得いかないことは絶対に謝らないけど!
「ひと口に十四番隊と言っても我々護廷十三隊とは異なった存在じゃ。
護廷十三隊ともう1つの隊、そういう認識で構わん。
しかし権力は他の隊長と変わらぬ。
主な仕事は瀞霊廷を護ることに加え、我々護廷十三隊の補佐じゃ。
今、隊長不在の隊を全て補佐するのじゃ……!」
「総隊長、それ無茶ぶりですよ!」
隊員を募集するのかは定かではないが、現状私1人で三隊分を全てカバーするなんて無茶にも程がある。
それはいくらなんでも手が回らないのではないだろうか。
「異議は認めん。
その代わりと言ってはなんじゃが、給料は弾ませておくぞ」
「皆が皆お金が欲しい訳じゃないですけど……まぁ、分かりました。
やれるだけのことはやってみます」
「宜しい。では明日義眼を装着し次第、一番隊に来られたし。
隊首会の中でお主を紹介する」
総隊長も相変わらず強引……。
十四番隊、ね。
元々三番隊に居たせいか、長く言いづらいと思ってしまう。
まぁそれもいずれ慣れるかな。
明日、朝一で技術開発局に行こう。
そうしないと隊首会に間に合わなくなってしまいそう。