第9章 本格始動
「まだイクなよ。へばるぞ」
「っ、むり、いっぱいされたらイッちゃう……」
「はっ、相変わらず敏感な身体だな。
挿れただけで食いちぎられそうなぐらい締め付けて来やがる」
「〜〜っ……そんな、しちゃ、だめ」
「無茶言うな。動かねぇ方が無理だ」
腰を押さえつけ、ガツガツと奥を抉るように突かれる。
「っ、あこ、イッちゃ……」
「イケよ」
「あぁっ……!あ、まっ、まだ動いちゃ……やっ」
「却下。なぁ、聞こえるか?」
「あっ、んっ、なに、が?」
「この音。千早のと擦れてエロイ音鳴ってんの」
「っ、ばか!あっ、やぁ、そこ、や」
阿近はわざと音を立てるように腰を動かす。
グチュグチュと粘度の高い水音が嫌でも耳に入って来る。
恥ずかしいのに気持ちが良くて。
何も考えられなくなっていく。
「エロイな」
ポツリと漏れた阿近の言葉は自分の激しい心音が邪魔をして、私の耳には届かない。
余裕がなくて、だらしない声をあげながら阿近に腕を伸ばす。
動きにくいと思うのに、その伸ばされた手を拒否せずに首に回させてくれる阿近は優しいと思う。
「っ……悪い、そろそろ出そうだ」
切羽詰まったような阿近の声。
そんな声が珍しくてまた蜜口がキュンと鳴く。
涙で滲む視界に、阿近が眉間に深く皺を寄せている姿が薄らと写り、愛おしくて、離れたくなくて。
「んっ、おい、馬鹿……!」
腰を引いて自身を引き抜こうとする阿近のお尻に脚を絡ませた。
ドクドクとナカで熱いものが弾ける感覚がする。
その温かさにうっとりと目を細めると、勢い良く自身が引き抜かれ、急な喪失感に襲われる。
「何考えてやがんだ、この阿呆」
ゴチン、と珍しく強めに頭を叩かれる。
眉間に先程までとは違う皺を寄せて、私を見下ろしている。
怒ってる。
「……ごめんなさい、離れたくなくて、つい……」
冷静に考えると、なんてはしたない真似をしてしまったんだと自己嫌悪に陥る。
ずっと私の身体を気遣ってくれていた阿近に申し訳なくて言葉尻がどんどん小さくなる。
「……別に、千早との子供が嫌な訳でも、要らない訳でもねぇ。
ただ順序やタイミングってもんがあるだろ」
「はい……ごめんなさい……」