【場地圭介】ペットショップの店員にパンツ見られました
第17章 【番外編③】私と圭介とハジメテと
「本気で抱いたの、ちゃんが初めてだからな」
と信じられない事実を告げた。
は? という心の声が全面的に表情に現れているであろう私を無視して、圭介はどんどん話を進めていく。
「今まではどうでもよかったっつーか。相手をそれなりに気持ちよくさせて、俺も欲を吐き出せたらそれでよかったんだけどよォ」
「サイテー」
「うるせ」
そう言った圭介は私のおでこにぺちんとデコピンを食らわせた。痛くはないけど、不満はあったので片手でおでこを押さえながらじとーっも圭介を見つめる。そんな私の視線に気づいたのか……圭介はこちらをちらりと見てからまるで何かを慈しむように、優しくふっと口角を上げた。……色男め。
「だから初めてなんだよ」
「何が?」
「こんなに尽くしたいと思ったの。ちゃんが初めて」
その言葉に私の顔が一気に熱を持つ。それは他の女の子とは違って、彼の特別であると思ってもいいってことだろうか。その事実が嬉しいのと恥ずかしいので、あまり圭介の顔をしっかりと見られない。どんな顔すりゃいいのよ、私。
「気持ちよくさせてやりたいって思ったのも、もっと欲しいと欲が出てたのも、ちゃんが初めてなンだよ」
「ん」
「照れてンのか?」
「……るさい」
「でもよ、一個不満があんだよ」
「不満?」
急に不満とか言われると、次に何言われるかめちゃくちゃ不安なんですけど。何だ、俺はあまり気持ちよくなかったってか? もしそんなこと言ったら大事なところ蹴っ飛ばしてやるんだから。
少し身構えながら圭介が続きを話してくれるのをただただ待つ。さあ、どんな不満があるのやら。
「……たワ」
「ん? なんて?」
「ちゃんの初めては全部俺がよかったワ」
「へっ?」
「あのクッッッソみたいな男のが俺より先にちゃん抱いてたとか、スゲェ腹立つ」
「……ふっ、くく、そんなこと?」
「ハ? そんなことじゃねェ。重要だろーが」
「ふふっ、圭介も可愛いとこあるじゃん」
「うっせ」
何その不満。めちゃくちゃ可愛いんですけど。私は圭介の元カノを知らないからこうやって嫉妬せずにいられるのかな。それとも元カノに対しての圭介の態度を知ってるからかな。