第7章 時を駆ける想い
鏡を見ながら自分の顔を凝視するわたしを不思議そうに見ながらお姉ちゃんが言う。
「ほら、早く支度しろ。
研二の引っ越し、手伝うんだろ?
わたしはこれから出動だから。じゃあな」
研二の引っ越し…?
お姉ちゃんの言ってる内容がもう意味不明すぎて頭にはてなマークをたくさん浮かべていると、鏡の横に掛けてあるカレンダーが目に留まった。
そこに書かれている内容に、わたしは驚愕の声をあげる。
「…嘘でしょ?」
わたしの部屋のカレンダーは7年前のものが掛かってる。
わたしが今いるのは7年前??
まさかこれ、夢??
わたし今頃病院で意識不明の重体??
夢なら醒めないで欲しい。
だって7年前は、わたしが一番幸せだった日々。
わたしの周りにみんながいた日々。
そう思いながら、じっとカレンダーを見つめていると、わたしの部屋のドアがコンコンと鳴った。
「ミコトー、入るぞー」
懐かしい声にわたしの胸が大きく鼓動した。
懐かしいのに、もうずいぶん聞いてなかったのに、誰の声だかすぐに分かる。
パッとドアの方を見ると、そこには7年前に死んだはずのわたしの兄が立ってる。
「悪いなー。せっかくの休みに手伝わせて。」
ははっと笑う兄を見て、わたしの目に涙が溜まっていく。
紛れもなく、お兄ちゃんだ。
この声、この笑い方、そして優しい目。
わたしが大好きだったお兄ちゃんがそこにいた。