第7章 時を駆ける想い
「ミコト…!ミコト!!!」
誰…?
声が聞こえるってことは、わたし死んでないのか…
病院のベッドの上とか?
そう思いながらゆっくりと目を開けると、姉の顔が見えた。
「やっと起きたか!何度も起こしたんだぞ?」
「え…」
姉の向こうに見えた天井は、病院の天井じゃなく、わたしの実家の天井だった。
実家に帰るのは久しぶりで、ずいぶん懐かしく思えた。
「まさか、お姉ちゃんが運んでくれたの…?
っていうか!やば!!診察!オペ!」
今日は朝から診察、昼からはオペの日だと思い出し、わたしは慌てて身体を起こした。
「はぁ?何?寝ぼけてんのか?」
お姉ちゃんはそう言いながら笑った。
まるでわたしが突拍子もないことを言ってるみたいな反応。
どういうこと…?
それにわたしは確かに階段から落ちたのに、身体はどこも痛くない。
自分の腕や膝を確認するも全く傷はないし…
そしてわたしは妙な違和感を覚えた。
目の前にいるお姉ちゃんが随分若く見える。
「…お姉ちゃん、なんか若返ってない?」
「何言ってんだ。24歳から若返ったらそれはもう子供だよ」
24歳…?!
お姉ちゃんは今31のはずじゃ…
ハッと身体を起こし、自分の顔を鏡で見た。
心なしか、わたしも若返っている気がする…
肌もきめ細かくて、コンシーラーなんていらないぐらいくすみもなく。