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【R18】evermore 【DC/松田陣平】

第53章 最終話 evermore






10年後
11月7日


米花中央病院
一般外科病棟

ベッドの上の患者に聴診器を当て、心臓の音を聞いたわたしは、聴診器を外して肩にかけカルテを記入しながら告げる。


「はい、経過は良好ですね。」

「ありがとうございます。萩原先生のおかげでまたサッカーができます」

「無理は禁物ですよ?今度身体に違和感を感じたらすぐに病院を受診するように。わかりましたか?」


医師免許を取って10年が過ぎ、気付けばタイムスリップする前の自分の年齢を追い越していた。


病室を回って診察をし終え、医局に戻ったわたしに看護師が問いかける。


「萩原先生。今日半休ですよね?
時間、過ぎてますけど大丈夫です?」

「っ!ああ!大丈夫じゃない!ありがとう!」


以前の自分と比べ、かなり大人になったはずだけど、人間の本質はそうそう変わらないらしい。

バタバタと荷物をバッグに詰め込み、ロッカーでスクラブから私服に着替えると大急ぎで病院を飛び出した。

病院近くの花屋で花束を購入し、車を飛ばして到着したのは渋谷、月参寺。


今日は、お兄ちゃんの命日だ。


購入した花を持ち、お寺の住職さんにご挨拶をしてバケツに水を汲んでいる時、わたしを呼ぶ声がした。



「ミコト」


声のする方へ顔を向けると、そこにいたのはわたしのかけがえのない人


「陣平くん!」


そして


「ママー!」

「美桜ー!」


両手を広げてその天使を抱き止めると、陣平くんがやれやれ。と言いながら後ろからついて来た。


「ありがとう。お迎え行ってくれて」

「同僚の奴らに、松田が保育園にお迎え?!って驚かれたぜ…
そんなに珍しいかねえ。イクメンの俺。」


そう言いながら陣平くんは美桜を抱き上げると、サングラスをオモチャみたいにイタズラされている。

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