第53章 最終話 evermore
思えばこの物語は、奇跡の連続だった。
死んだはずのお兄ちゃんと陣平くん。
2人が生きている世界線にタイムスリップをして、お兄ちゃんに言えなかった言葉を伝えた。
お兄ちゃんを救おうとしたけれど結局救えず、途方に暮れていたわたしに、陣平くんが付き合おうと言ってくれた。
恋人同士になったわたしたちは、お互いの気持ちを確かめるのに必死で、すれ違って傷つけ合う時もあった。
けれど、最後まで2人の未来を諦めなかった。
陣平くんを救うという、わたしの最大にして心からの願いを叶えることができた。
そして今、永遠を
わたしたちの愛する人たちの前で誓い合う。
「新郎、松田陣平。あなたは萩原ミコトさんを妻とし、病めるときも健やかなるときも、愛をもって互いに支えあうことを誓いますか?」
「はい、誓います」
「新婦、萩原ミコト。あなたは松田陣平さんを夫とし、病めるときも健やかなるときも、愛をもって互いに支えあうことを誓いますか?」
「誓います」
「それでは、誓いのキスを」
陣平くん。
わたし、分かったことがある。
永遠はきっとあると。
だって、小学生の時あなたに初めて出会って芽生えた小さな恋心は、何十年経っても、時を超えても、少しも色褪せることなく今も芽吹いている。
きっとこのさき何十年、何百年、わたしたち2人が生まれ変わっても、変わらず続いていくの。
永遠に、ずっと。
そして春、夏、秋、冬
何度目かの季節が巡り…