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【R18】evermore 【DC/松田陣平】

第52章 愛




「ん…」


吐息が漏れる音がして、ハッと振り返ると
ミコトのつけている酸素マスクが白く曇り、ゆっくりと目が開いた。


「ミコト…」

「じん…ぺ…く…」


虚な目で天井を見た後に、ゆっくりと俺の顔を視界にとらえ、辿々しく名前を呼ぶミコト。

俺はミコトの手を握りながら何度もミコトの名前を呼んだ。


「っ……ミコト…ミコトっ!!」

「なんで…泣いて…る…の?」

「っ…泣いてねえよ…泣いて…ッ…
ミコト……」

「…?」

「あい…してる…っミコト…」


あんな大事故に遭って、生死を彷徨ってやっと目を覚ましたときにこんなこと言われても、困るよな…

でも、言いたかったんだ。
ちゃんと、ミコトの目を見て、今まで誰にも言ったことのない言葉を。


ミコトは俺をじっと見たまま、ぽろ…と涙を一筋こぼした。

そして、精一杯に微笑んだ。


「うれ…しい」

「ミコト…っ…身体は?大丈夫か…?
すぐに先生呼んで…」

「じんぺ…く…今日、なんにち…?」


そう尋ねられ、ICUの時計を見た。
時刻は0時を回っている。


「11月9日だ」


そう伝えると、ミコトはじわりと涙を浮かべた。


「そっか…そう…なんだ…
よかったぁ…」


日付を聞くや否や、ボロボロと涙をこぼすミコト。

何も良くねえよ…んな大怪我して…

俺は急いでICUにいるナースにミコトが目覚めたことを伝え、千速と萩原母が休んでいる別室にもノックもせずに突撃した。


ミコトが目を覚ましたと聞いた千速と萩原母は飛び起き、大急ぎでICUに戻ってきた。


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