第6章 もしも命が描けたら
運ばれたのは、米花中央病院
陣平くんが命と引き換えに救った病院だった。
数日間飲まず食わずだったわたしは点滴を投与されながら鎮静剤を打たれ、陣平くんが救った病院で眠りについた。
夢を見た。
遠くの方で、陣平くんが見える。
わたしは慌てて駆け寄りながら彼の名前を叫んだ。
「陣平くん!!」
「…おぅ、ミコト」
タバコを咥えたままサングラスを外しながら振り返った彼は、優しい目でわたしを見た。
「ほら!やっぱり生きてるじゃん。
何やってるの?戻ってきてよ!」
「戻れねぇんだ」
「どうして…?
日曜日、会おうって言ったのに。
話があるって、何だったの?」
「悪いな。約束破って。」
「…ならわたしも連れてってよ…
陣平くんと一緒がいい…
行かないで…ずっと、そばにいてくれたのに…
行かないでよ!」
「ミコト、俺楽しみなんだよ。
お前が医者になって大勢の人を助けるのを見るのが。
…お前を連れてくわけにはいかねぇよ」
そう言って、陣平くんは微笑みながら消えていく。
「待って!陣平くん!
やだ!待ってよ…」
ハッと目を覚ましたのは、病院のベッドの上だった。