第51章 死なせたくない人
捜索から3時間が経過した。
「無い…ここも違う…」
リストにあげた場所を片っ端からチェックして行っているが、未だ爆弾らしきものは見つからない。
候補はあと20箇所。
これで全滅なら、まだ探していない場所を虱潰しに探すという絶望的な状況に陥る。
「それに…時間がない…」
陣平くんの殉職の時間まで残り15分を切ってる。
それまでになんとしてでも見つけないと…
時計を見る頻度が増え、どう見ても焦りながら何かを必死で探している様子のわたし。
きっと側から見ると不審者極まりないだろう。
けれどなりふり構っていられない。
わたしがタイムスリップして来たのは、陣平くんの命を救うためなんだから。
そう思いながら、またひとつまたひとつと候補の場所をチェックして行き、続いてやって来たのは小児科病棟。
ちょうど外来の時間で、フロアにはたくさんの家族連れが診察待ちをしている。
さっきまで、爆弾が見つからないことを嘆いていたわたしだけど、今に限っては見つかってほしく無い。
こんなところでもし爆発が起きたらと思うと、ゾッとする。
周りの家族連れを見渡しながら、そのフロアのチェックポイントを見て回るが、やはり爆弾らしきものは見当たらない。
「流石に無いよね…?」
そう呟きながら、そのフロアで最後のチェックポイントに足を踏み入れた時、わたしの脚が金縛りにあったように動かなくなった。