第51章 死なせたくない人
最後の一文字を綴る瞬間、俺の指はぴたりと止まり、脳裏にはミコトの笑顔がこびりついて離れない。
「直接、口で伝えられないまま俺は死ぬのか」
ぽつりとそう呟いた。
こんな、無機質な機械の文字で愛してるなんて言って居なくなるなんて、どれだけ酷なことをしようとしてるんだ。
「陣平くんは、いなくならないでね」
何度もそう言うミコトに、俺は決まって言い続けて来た。
「絶対いなくならない」
と。
その約束を破って、ミコトをひとりぼっちにするのか?
あいつは寂しがりやで甘えん坊で、俺が居なきゃダメなんだよ。
俺は一生一緒にいると誓ったんだ。
ミコトにも、そして萩原にも。
死ねない
死ぬわけにいかねえ
3秒前が何だ
ヒントが表示されるその瞬間に解いて、爆弾も止めてやる。
無茶苦茶な決意だとわかってる。
けれど俺は諦めたくなかった。
ミコトと過ごす明日、明後日、1ヶ月後、1年後、そして何十年後を。
右手でペンチを握り、あと一本切れば止まる状態まで解体を進め、その一本にペンチを沿わせた。
3秒。
大丈夫だ、2秒で解き1秒でこいつを切ればいい。
萩原、俺に力を貸してくれ。
そして、時間がきて
表示されたのは…