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【R18】evermore 【DC/松田陣平】

第50章 11月6日




画面を見ると、表示されていたのは…



「っ!もしもし!」

「お。まだ起きてたか。早く寝ろよ、もう2時だぜ?」


聞こえてきたのは大好きな陣平くんの声だ。


「っ…陣平くん、お仕事は?」

「今はタバコのお時間」


とぼけたフリしてそう言いながら、煙草の煙を吐く音が聞こえた。


「相変わらずタバコが大好きなのね、松田刑事は」


ワザと松田刑事。なんて呼んでそう揶揄うと、陣平くんは至って真面目なトーンで返してくる。


「いや?俺が大好きなのはミコトだけど?」

「っ…」


そんな風に心全部鷲掴みにしていくとこ、4年経っても何年経っても、少しも変わらないね。

そして相変わらず陣平くんに心の底からときめいてるわたしも、何年経っても全く変わらない。

陣平くんの声を聞くだけで、胸が高鳴ってうるさいぐらいだ。


「陣平くん」

「んー?」

「…わたしね、陣平くんと付き合えて良かった」


そんな言葉が口をついて飛び出した。

これが陣平くんと電話をする最後。
そんなこと思いたくないし、明日は必ず陣平くんを救うと心に決めている。

けれど、今心に浮かんだ言葉は全て、今彼に伝えないと必ず後悔する。

お兄ちゃんを救えなかった時、痛いほど実感したから。



「なんだよ、突然」

「いいじゃん。思ったんだから。」

「いいけど。…まるで」


まるで…

その言葉の続きを遮るみたいに、わたしは陣平くんに伝えた。


「陣平くん、愛してるよ」


愛してると言う言葉を伝えるたびに、涙が溢れるのはどうして。

今も、わたしの片目から流れた涙は顔を横切り枕を濡らした。



「…ミコト」

「なに?」

「明日、帰ったらそれ俺も言うから」

「え…?」

「っだから!…電話じゃ勿体ねえだろ。
ちゃんと目見て言うから。俺も。
だから、泣くんじゃねえよ」


さっきまで、一筋しか流れてなかった涙が、陣平くんのせいでたくさん溢れた。


愛してるなんて、陣平くんから言ってくれるはずないと思っていたのに、伝えようとしてくれていることそのものが嬉しくて。


「明日ね?絶対ね?約束ね?」

「はいはい。ゆびきりな。」

「針千本だよ?」

「一万本ぐらい飲んでやるよ」


いつもの調子でそんな冗談を言い合って笑った。




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