第50章 11月6日
陣平くんの帰らない家にひとり帰宅したわたし。
食欲がないなりにも、何かお腹に入れておこうと冷蔵庫にあった豆腐を湯豆腐にして無理やり食べた。
シャワーを浴びて髪を乾かし、スキンケアをしてベッドに転がると、毎日眠っている寝具の匂いが鼻に香って落ち着く。
そしてこれまで何度も見た天井のダウンライトをぼんやりと眺めた。
いつもと変わりないこの一連の流れなのに、心にぽっかりと穴が空いたような感覚。
明日だ。
いよいよ明日は11月7日。
明日で全部が決まる。
わたしがタイムスリップした意味も、きっと明日はっきりするはず。
この4年、一瞬で過ぎ去ったかけがえのない時間。
最後にしたくない。
陣平くんに、生きて欲しい。
そして我儘かもしれないけれど、陣平くんとこの先の未来を一緒に生きたい。
生きたい…
そう願うほど涙が止まらなくなって、陣平くんからもらった彼の身代わりのテディベアをギュッと抱きしめたとき、
ヴーーッヴーーッ
わたしの携帯のバイブが響いた。