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【R18】evermore 【DC/松田陣平】

第50章 11月6日




離れていても、声を聞くだけで心が熱くなる。
それがわたしにとっての松田陣平という尊い人だ。

他愛のない話をひとつ、ふたつした後、時計を見ると軽く1時間過ぎている。
それに気付いた陣平くん。
さすがにタバコタイムは終了だと、終わりの合図を送る。


「んじゃ、また明日帰る時連絡するわ。
…必ず、萩の仇をとるから。
お前は何も心配せずに待ってろ?な?」

「うん。待ってる」

「よし。じゃ、オヤスミ」


おやすみを言われた途端無性に寂しくなったわたしは咄嗟に彼を呼び止めた。


「あ、陣平くん。」

「ん?」

「おやすみのちゅーして?」

「っはあ?!」

「ちゅーして!」


意固地にそう言って聞かないわたしを、陣平くんはまるで子供に諭すみたいな口調で宥めた。


「ミコトちゃん?電話じゃキスは出来ねえんだよ?わかる?」

「出来るもんー!!」

「出来ねえって」

「出来る!!」

「…わかったよ」


この世で1番無意味な、出来る、出来ない論争。
結局折れたのは陣平くんだ。
強情でいじっぱりに見える陣平くんだけど、実はわたしの方が我儘で彼はいつも譲ってくれる。


「…目、閉じて?」

「はい」


言われた通り、電話越しに目を閉じたわたし。

不思議だ。
目を閉じて、受話器から陣平くんの微かな息遣いが聞こえるだけで、本当にすぐそばに彼がいるみたい。

陣平くんの手のひらがわたしの頬を撫でてるところが鮮明に頭に映し出された。



「……chu」



微かに聞こえたキスの音。

彼の唇が触れた気がした。



「…ふふ。」

「満足っすか。ミコトさんー」

「大満足です」

「恥ずいことさせやがって…
んじゃ、今度こそおやすみ」

「ん。おやすみ、陣平くん」


ぷつ…

電話を切った後も、すっと陣平くんがそばにいるみたいに思えて、胸が熱い。

明日。
明日、本物の陣平くんとキスをして、そして愛してると言ってもらうんだ。


11月7日を、1番幸せな日にするべく。


運命を必ず変えてみせる。



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