第50章 11月6日
何度かコール音が鳴ったけど、やっぱり出ない…
そう諦めて、発信をキャンセルしようとしたとき、
プツッ…
「もしもし」
「もしもし、陣平くん?良かった!!繋がった!」
彼の声が受話器から聞こえて、わたしの声は思わず高くなる。
「おう。どうした?今手が離せねえんだ。手短に頼む」
「あ、そうなの?じゃあ後で…」
「いや、今話してくれ。
後は…無いかもしれねえから」
後は無い
その一言がわたしの心にひっかかった。
「え?どういう意味?
「爆弾を解除してんだよ。」
彼からの返事がまさかの答えで、わたしの心臓の鼓動は嫌に加速する。
どく…どく…どく…どく…
自分の心臓の音って、耳から聞こえるんだ…
そう思うぐらいに大きく、速くなる鼓動に息も上がってくる。
「爆弾って…後はないって…え…?陣平くん??」
「あ、やべ。充電切れそうだわ。
悪ィミコト。切るぜ?」
「や!まって!待って陣平くん!!?」
ツーッツーッ…
嘘でしょ…??
爆弾を解除してるって…それは明日のはずじゃ無いの?!
まさかわたしが知っている出来事とは違うことが起ころうとしているの…?!
けれど今陣平くんがどこで爆弾を解体しているのか見当もつかない。
居ても立っても居られず、わたしはひとまず警視庁へと走り出した。