第6章 もしも命が描けたら
松田side
捜査会議が終わり、佐藤美和子という捜査一課の先輩が俺に言った。
もっとも、歴は俺の方が長ぇんだけどな。
「さっきの電話、彼女?」
「いや?ダチの妹だよ」
「なんだ。てっきり彼女かと。」
目を丸くしながらそう言うセンパイに、俺は珍しくプライベートな話を零した。
「…彼女になる予定だけどな。
今度の日曜、告うって決めたから」
「なーに?成功するの確定みたいな口ぶりじゃない?」
「…気付けば、随分長いこと待たせちまったからな。」
そう言いながら捜査会議の席に着席する。
今度の日曜日
俺にとってそれは、当たり前にくるものだと思っていた。
明日、おそらく仕掛けてくるであろう爆弾犯を捕まえて萩の仇を取り、
ミコトに好きだと言って、ミコトが幸せそうに微笑む。
そんな、つい数日後の未来は
当たり前にくると思っていた俺の明後日は
俺の前から突然、姿を消した。