第48章 Marry ☆
松田side
帰宅すると、ミコトは嬉しそうにソファーに直行し、買ったゼクシィを早速開いた。
「おいおい、アイス食うんじゃなかったのかよ」
アイスの袋を開けるよりもまず雑誌を開くミコト。
俺は自分のソーダ味のアイスバーを口に咥え、ミコトのいちご味のアイスの袋を開けてやると、ソファーに腰掛けた。
「ん。お前の」
「ありがと!いちごー!」
嬉しそうにそれを受け取り、口に含みながらも雑誌に目を落とすミコト。
俺はミコトの肩に腕を回し、同じページを眺めてみた。
結婚式にかかる費用
平均324万円
「たっっっっけえ!!!」
「!!びっくりした!」
そのとんでもない数字に驚いた俺は思わずでかい声を上げ、ミコトはその声に驚いて目を丸くする。
結婚情報雑誌って、もっとこう…ドレスーとか、チャペルーとか、とにかく夢を見させてくれるもんだと思っていたが、現実は甘くなかった。
というより、巻頭から結婚式は金がかかるという現実をまざまざと見せつけられた気分だ。
ミコトはというと、その金額にさほど驚くこともなく次のページを捲る。
「あ、見てー!ウエディングドレスとタキシードの特集だ!
ふふ…陣平くん、白タキシード似合わなさそうー!」
「似合いそうー!じゃなくて似合わなさそうかよ!」
「わたしはレースの綺麗なドレスが着たいなー!」
俺のツッコミは完全スルーなミコトは、これがいい。あれがいい。と雑誌を見ながら楽しそうに笑う。
まぁ、ミコトなら何着ても可愛いんだろうよ。
調子乗るだろうから、絶対口に出しては言わねえけど。