第48章 Marry ☆
「何か、マジでこれでいいのか?」
「?なにが?」
帰り道、手を繋いで家まで帰る道すがら、陣平くんがうーーんと唸りながら口を開いた。
「何がって、結局お前との結婚は認めてもらえたってことで合ってる?」
「合ってるでしょ」
「すんなり行きすぎて、逆に不安だわ…」
イージーモードに慣れていない陣平くんは、何か良くないことが起きるんじゃ?なんてブツブツ言いながら、わたしの手を握って歩いてる。
「わたしはもし両親に反対されたとしても陣平くんと結婚するよ?」
「バァカ」
「ばかとはなんだ!ばか!」
「バカって言う方がバカなんですーバーカ」
「それなら陣平くんもじゃんー!」
そんなくだらない、だけど尊いやり取りを交わしながら歩いてるこの時間が何より愛しい。
「お、ちょっとコンビニ寄っていいか?
アイス食いてえ」
「うんー」
自宅前にあるコンビニに入り、食べたいアイスをカゴに入れたわたしたち。
ふと本棚に置いてあるゼクシィが目に入った。
「あ!陣平くん!これも買う!」
「あぁー?まだ早いって」
「いいのー!妄想したいもん色々と!」
「ったく。国試の勉強捗らなくなっても知らねえぜ?」
陣平くんはそんな憎まれ口を叩きながらわたしの頭をわしゃわしゃと撫で、持っていたゼクシィをひょいと取り上げるとカゴに入れてレジに向かった。
「結局買ってくれるもんね、陣平くんは」
口の悪さに似合わず優しいところが好きで大好きで、彼の後ろ姿を眺めて思わず笑みがこぼれた。
この時間がずっと永遠に続けば良いのに。
結婚情報雑誌を買ったのは、迫り来るカウントダウンがわたしの心を曇らせるのを振り払うためでもあった。
会計を終えた陣平くんが下げてる袋を見せながらわたしに笑いかける。
「んじゃ、帰ってアイス食いながらこれ見ようぜ」
「うん!」
元気に返事をして、彼の手を握った。
わたしのそばから消えて無くならないように、強く。