第47章 初めて想いを伝えたあの場所で ☆
松田side
ミコトへプロポーズしてから数日後のこと
俺は佐藤が入院している病室の前に立った。
ガラッと扉を開けると、佐藤が俺を見て目を丸くする。
「松田くん。どうしたの?」
「…あんたに話があって来た」
俺のことを庇って大怪我をした、俺のことを好きな女。
嫌いじゃねえのに、嫌われなきゃいけねえ。
男女ってつくづく、面倒だなと思う。
俺は佐藤の目を見ながらはっきりと告げた。
「俺、結婚するわ。ミコトと。
…だから、あんたの気持ちには応えられねえ。応える気もねえ。
この先、一生。」
残酷な程にキッパリと言い切る俺。
そんな俺に、佐藤は顔色ひとつ変えずに返事をする。
「へえ。そう」
「っ…?!は?驚かねぇの?」
「何を驚くことがあるのよ。もともとそのつもりだったんでしょ?
おめでとう。」
あまりにも平然とした態度に俺は混乱に陥る。
は?え??こいつ、俺のことが好きだと言ってなかったっけ??
まさか、好きって言葉の重みは俺の思っているレベルと違うのか?!
もっと軽い…例えば、ハンバーグが好き。とかその程度の?
頭の中はクエスチョンでいっぱいの俺を見透かしたかのように、佐藤は笑って言った。
「そんな困惑しないでよ。
これでもしっかりフラれて傷ついてるんだから」
「っつーことは?俺はハンバーグなのか?は?どっち??」
「何の話をしているのよ!
…もういいわ。別に松田くんにこだわるほど、私モテないわけじゃないし。
きっとそのうち、松田くんより優しくてかっこよくて可愛い後輩くんが現れて、松田くんなんて霞んじゃうんだから」
「後輩食う気満々かよ」
そんな、いつものやり取りを重ねて少しホッとした。
「…ま、っつーことだからよ。
萩原の件は手を引いて構わねぇぜ。
俺1人で調べるし」
「?何言ってるの?それは一緒に調べる約束でしょ?」
「っ…けど」
「あのねえ、フラれたからって元々していた約束を放棄するような女だと思ってるの?!」