第6章 もしも命が描けたら
11月6日、この日もわたしが眠る前に電話をかけてきた。
「陣平くん?」
「よお、ミコト。
どうだ?勉強は。試験、受かりそうか?」
「んー…どうだろ?昨日出願してきたけど、自信ない」
ベッドの中で、寒くなってきた足と足を合わせて温めながら、陣平くんの声を聞いた。
「楽しみだな。」
「何が?」
「お前が医者になって、大勢の人を助けるところを見るのが。」
「まるでお兄ちゃんみたいなこと言うじゃん。
…陣平くんこそ、仕事忙しいの?
ごめんね。試験勉強で、ご飯作りに行ってあげられなくて」
そう言うと、陣平くんは突然改まって話をし出した。
「…萩を殉職に追い込んだ犯人。
多分明日、なんか動きがあると思う。」
「え…」
ドクン…と胸がざわめいた。
慌てて受話器を持ち替えて、陣平くんに尋ねる。
「ま、待ってよ…陣平くん、大丈夫なの?」
「心配すんな。
俺は今は爆処じゃなくて捜査一課。
滅多なことがねぇ限り爆弾では死なねえよ」
「…本当?
…陣平くんまでいなくなるの、嫌だよ?」