第47章 初めて想いを伝えたあの場所で ☆
松田side
2人で手を繋いで電車を乗り継ぎ、2人で暮らしているマンションの前に着いた。
鍵を開けて中に入ろうとしたとき、不意にミコトの足がピタリと止まる。
「?どうした?」
「や…なんか…もう帰らないからね!なんて言った手前、バツが悪いっていうか」
そう言いながらもじもじソワソワするミコトをよそに、俺はガチャリと鍵を開けて扉を開いた。
ミコトの手を引いて家の中へ誘うと、入ってすぐの壁にミコトを追い込む。
「陣平くん…?」
「おかえり、ミコト」
そう言ってミコトの唇を奪った。
角度を変えて唇を重ね、舌をねじ込んで口内を犯すと、ミコトは身を捩りながらもそれに応えてくれる。
「っ…ん…っ…」
「お前がもう帰って来ねえと思うと、すげえ怖かった」
頬を撫でながらミコトの瞳を見つめると、くりくりのタレ目の中に俺が映ってる。
お前のこと、好きで好きでたまらねえって顔してる、情けない男のツラが。
そんな俺の背中にぎゅっと腕を回して抱きしめ返したミコトは、小さく震える声で言った。
「ただいま、陣平くん」
ミコトの匂いで頭がクラクラして、早く抱きたくて、俺は夢中で自分の靴を脱ぎ捨て、ミコトの履いていた靴も脱がせると、抱き上げてベッドに運んだ。
ドサッとベッドのスプリングが跳ね、ミコトの顔を覗くと目にジワリと涙が滲んでいる。
「陣平くんの匂い、すごく久しぶりに感じる」
「俺も、同じこと思ってた。」
そう言いながらまぶたにキスをして、額に、頬に続け後、最後に唇を奪う。
甘くて綿菓子みたいな味。ミコトの味だ。
夢中になって何度もキスを繰り返していると、ミコトは俺をじっと見つめながら言う。
「じんぺいくん」
「ん…?」
「キスだけしかしないの?」