第47章 初めて想いを伝えたあの場所で ☆
そう思ってると、後ろからわたしの頭をポンッと叩く手が伸びて来た。
振り返ると、陣平くんがサングラスをしたまま立ってる。
「よ。」
「陣平くん!」
久しぶりに彼の一部に触れて、思わず声が裏返った気がした。
そんなわたしを見て陣平くんがサングラスを外す。
その奥は、いつもより優しげな目をしてた。
「懐かしいな。ここ、4人で来たの覚えてるか?
俺とお前と千速と…萩。」
「忘れるわけないじゃん。今も、あの日のこと思い出してたよ」
陣平くんに、初めて好きだと言ったの。
覚えてる?
そう聞きたかったけど、聞くのをやめた。
わたしにとっては忘れられない思い出だけど、陣平くんは忘れていて、そうだっけ?とか、平気で言って来そうだったから。
そのあと数分の沈黙の中で2人で海を眺めた後、陣平くんがゆっくりとわたしの方を見て話し出した。
「…今日、わざわざここまで来てくれて、ありがとな。
どうしても、お前に話したいことがあったんだ」
わたしに話したいこと…
改まってこんなふうに話すってことは、やっぱり想像してたとおり…
別れ話…?
陣平くんの一番の最優先事項は、お兄ちゃんを殺した犯人を捕まえることだ。
彼の人生を賭けて、お兄ちゃんとの約束を果たそうとしている。
なのに、こんな色恋沙汰で邪魔されてる場合じゃないもんね…
佐藤さんとのことだって、彼女と上手くやる方がお兄ちゃんとの約束を果たす上での絶大な協力者になるだろうし。
頭ではそう理解しているのに、わたしの口を突いて出て来たのは
「やだ…」
「は?」
「…話なんて、聞きたくない」