第47章 初めて想いを伝えたあの場所で ☆
時間というのは、気づけば過ぎているもので
実習に試験の勉強に。とバタバタを繰り返していたら早々に陣平くんと会う日がやって来た。
徹夜続きの死んだ顔をメイクで少しでも綺麗に見えるように。と、念入りに鏡をチェックして家を出たわたし。
電車の窓から見える景色に懐かしさを覚え、ぼんやりと眺めていると、ほどなくして陣平くんに初めて気持ちを伝えたあの海に到着した。
「あの頃は、楽しかったな…切なかったけど」
波打つ海を見ながらぽつりとそう溢した。
あの頃は、お姉ちゃんがいて、陣平くんがいて
そして、お兄ちゃんがいた。
陣平くんはお姉ちゃんのことが好きで、わたしはそれを何も言えずに見てるだけだったな…
挙げ句、あまりにも陣平くんがわたしの気持ちに鈍感なもんだから、勢い余って半分逆ギレみたいに「陣平くんのことが好きなの!」なんて言っちゃった。
あの頃のわたしは夢にも思ってなかったな。
その後、陣平くんと初体験することも
陣平くんが殉職することも
その彼を救うためにタイムスリップすることも
そして、彼の恋人になって…
幸せで幸せでたまらない時間を過ごしていることも。
なんなら、こんなふうにヤキモチ妬いて喧嘩することすら想像もしてなかった。
あの頃のわたしが聞いたらきっと、贅沢だ!と今のわたしを罵るんだろう。
陣平くんと恋人同士でいられるだけで幸せなのに、何考えてるの?と。
そう、幸せなのに。
これ以上ないぐらい幸せなのに、また欲張りになってたみたい。
謝ろう。陣平くんに。
陣平くんだけだよ。ってちゃんと謝って、仲直りしたい。
けれどもし、もう既に彼が別れを決めていたら…