第46章 キスと告白と
松田side
ミコトが藍沢とキスしているところを見たあの夜、俺はあいつを拒絶して佐藤の病室に戻った。
佐藤はもうすでに眠っていて、側の簡易椅子に腰を下ろすとさっきしたケンカを思い出す。
陣平くんだって、抱きしめてたくせに
そう言ってたな…
見られてたのか…
あれは、そんな意味じゃねえよ。
ただ、佐藤が俺のせいで怪我をしたから慰めようと思っただけで。
けど、そんな説明もなくあのシーンを見せられると、そりゃ誤解するよな。
思えば今日ここに来てから、俺はミコトが近くにいるにも関わらず佐藤の心配ばかりしていた。
俺がどれだけミコトを思っているか、説明しなくても伝わっていると勝手に勘違いしていた。
伝わっているなら、こんなことでわざわざ不安定な関係になったりしないだろ。
こんな風に喧嘩をするのはもう何度目だろうな。
一緒に住み始めても、改善されるどころか悪化している気さえするこの問題。
陣平くんとの家に帰らないよ?!と言っていたミコトだが、なんだかんだ言って、帰ったらいつもみてえに料理を作りながらおかえりと言ってくれると期待してた。
けれど、その日俺が帰宅して待っていたのは真っ暗な部屋とシンとした空気。
ミコトの姿はどこにもなかった。
「俺、甘え過ぎてたのか…?
あいつのこと、上手く大切に出来ていなかったから、あんな風に他の男に手ェ出されたのか?」
そんなことを繰り返し唱えては、ため息が溢れた。
こんな中途半端で危うい関係、もうくそくらえだ。
そう思った俺は、部屋を飛び出してある場所へと走った。
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