第46章 キスと告白と
お互い別の人にアプローチされて、お互いが誤解をして、お互いが嫉妬をして…
単純に言えばそうなのだけど、言葉では言い表せない独占欲や嫉妬心はどうやって説明したらいいんだろう。
「…そりゃ喧嘩することもあるよな。
まあとにかく、久しぶりだしゆっくりしていけよ?
研二も会いたがってただろうしさ!」
何も言わないわたしに、姉はカラカラと笑ってわたしの手を引いて中に招き入れた。
そして、仏間にあるお兄ちゃんの遺影の前の座布団に腰を下ろしたわたしは、手を合わせてお兄ちゃんに語りかけてみる。
ねぇ、お兄ちゃん。
陣平くんと一緒に住み始めたのに、どうしてか苦しくなることが多くなった。
前よりももっと、自分だけのものでいてほしいと思う。
前よりももっと、陣平くんを独り占めしたくなる。
そして、時間が経てば経つほど、あの11月7日が近づいてくる恐怖感は拭えない。
挙げ句、喧嘩して出てきちゃった。
こんなとき、お兄ちゃんがいてくれたら仲裁に入ってくれてたんだろうな…
手を合わせながら、そんな泣き言ばかりをお兄ちゃんに語りかけたわたしの目から涙がポロポロと溢れては膝にぱたりと落ちていった。
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