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【R18】evermore 【DC/松田陣平】

第45章 好きなの




米花中央病院



ICUやHCUを回り、続いて一般病棟。
救命センター指導医師のサポートをしながら回診しているときのことだった。


ピピピ…ピピピ…

先輩が持っている院内連絡用のPHSが鳴った。

おそらくまた、ドクターヘリ要請か救急搬送連絡だろう。
指導医はPHSを素早く耳に当てる。


「はい。…え?白車?」


白車とは救急車のこと。
どうやら、救命に緊急の患者が救急車で運び込まれるという連絡らしい。


「はい。…はい。わかりました。
実習生の萩原と一緒に戻ります」


そう言ってピッチを切った指導医はわたしに行くわよ。と目配せをした後に救命処置室へ向けて走り出した。

慌ててそれに合わせて走り出したわたしは、少しでも患者情報を入れようと指導医に尋ねる。


「患者の状態は?」

「…拳銃で腹部を撃たれたそうよ。」

「銃って…まさか、テロですか…!?」

「詳しいことはわからないけど、患者は警察官だって」


警察官

そのワードを聞いて、わたしは背筋に冷たいものが通るようなそんな感覚に襲われた。


まさかね…だって、テロ対策って捜査一課じゃなくて公安事件だろうし…
陣平くんなわけない…よね…?


明らかに動揺するわたしに、指導医は続けて言う。


「あと、撃たれた反動で地面に倒れた時に頭を強く打っているらしいから、脳外にコンサルトもお願い」

「…」

「萩原さん?」

「っはい!」

「脳外。藍沢先生にコンサル頼める?」

「わかりました…」


指導医が投げたピッチをキャッチすると、わたしは走りながら脳外科医局にコールを飛ばした。


大丈夫。大丈夫…
陣平くんじゃない。絶対違う。

何度も何度もそう言い聞かせながら、脳外科に頭部外傷の件を伝え、藍沢先生にも処置に入ってもらうことになった。


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