第45章 好きなの
松田side
朝食を終えた俺は、心配性な彼女に行ってきますのキスをして、警視庁に出勤した。
ミコトの実習はラストスパートに入り、先月から1番過酷な医療現場だと言われている救命センターでの実習が始まっている。
帰ってきて飯の支度をし、そのあとはひたすら国家試験と卒業試験の勉強。
俺は俺で相変わらず不規則な勤務体系というのもあり、救命実習が始まってから一度もミコトを抱いていない。
キスを交わすことすらままならない程忙しい俺たちは、今日の朝行ってらっしゃいのキスをしたのが随分久しぶりに思えた。
まぁ、俺はミコトが寝ている間に勝手にキスをすることがあったけど…
そんな風に、今朝のキスを思い出しながらくわぁあっとあくびをして捜査一課の執務スペースのドアを開けた。
その時、俺のそのデカいあくびを見たある人物が声を上げる。
「おっきなあくび!!」
「っ…佐藤…」
「ったく。最近たるんでるんじゃない?
このところ、凶悪事件が発生してないからかしら?」
「まるで俺が事件を待っているみたいに言うじゃねぇか」
なんて言い返した俺。平然としたフリをして。
佐藤に一度好きだと言われ、その後すぐに忘れてくれと言われ、気づけば数ヶ月が過ぎたが相変わらず佐藤の態度は告白前と何ら変わりはない。
むしろ、更に小言を言うようになってねえか…?