第44章 誕生日の夜に ☆
陣平くんに抱かれた後、すっかり骨抜きにされたわたしはそのまま1時間ほど陣平くんの腕枕で寝落ちしていた。
ハッと目を覚ましたわたしは、起きて第一声を叫ぶ。
「じんぺいケーキ!!」
裸のままのマヌケな姿で身体を起こし、さらにマヌケな第一声を放つわたしを見て、腕枕をしていた陣平くんが隣で爆笑を始めた。
「おまっ…ぐーすか寝てたと思ったら、陣平ケーキって!馬鹿なのか頭良いのかどっちだよ」
「わっ笑わないでよ!…陣平くんがケーキ作ってくれるなんて、もう一生無いかもしれないじゃん!」
そう言いながら、身体を起こしてケーキを食べにダイニングに戻り、ケーキをフォークで掬ったわたしを、陣平くんは後ろから抱き締める形で捕まえた。
「こら…簡単に、離れて行こうとするなよ」
「っ…わたしは、どこにもいかないもん。
陣平くんでしょ?わたしのこと置いて、どっかに行っちゃうのは」
「ケーキなんて、来年も再来年も作ってやるよ」
そう言いながら、後ろから抱きしめたままわたしの耳元にキスを落とす陣平くん。
気付けばケーキの刺さったフォークは彼に奪い取られている。
来年も、再来年も。
そう信じて良いんだよね…?
今日が最後の誕生日には、ならない。
そう思ってて良いんだよね?
そう思うとじわっと涙が滲んで、誤魔化すようにわたしは陣平くんの方を向いてぎゅっと飛びつくようにして抱きついた。
「陣平くん、大好き!」
「うおっ!お前、突然飛びついてくるなよ」