第44章 誕生日の夜に ☆
唐突に出てきた諸伏の名前に首を傾げたミコト。
そりゃそうか。と、俺は今日のタネ明かしを始めた。
「今日これ全部、諸伏に教えてもらいながら作った。」
「そうなの?!わざわざ来てくれたの?」
「この間、同期3人で飲み行ったって言っただろ?そん時に頼んだんだ」
「…そんな前から、誕生日考えてくれてたんだ…」
そう言って、また目に涙をじわっと溜めるミコト。
こいつの涙腺崩壊ポイントは、未だに読めねぇ。
嬉し涙ですら、ミコトに泣かれるとギョッとしてしまう俺は、慌てて手を伸ばして向かいに座るミコトの涙を指で拭った。
「あぁもう!泣くなって!」
「っ…泣かないから、お願い聞いて?」
「んー?」
何を隠そう今日はこいつの誕生日だ。
つまり、なんでも俺にねだる権利がこいつにはある。
と、身構えていると、ミコトから最強に可愛いお願いが繰り出された。
「ケーキ、あーんして?」
「…ガキかよ」
「いいでしょ?誕生日なんだから!ほら、あーん」
ムッと顔を赤くしながら俺を睨んだと思えば、すぐさま目を閉じて俺の方へ口を開けるミコト。