第43章 もしかしたらこれが最後のハッピーバースデー
「よし。後は盛り付けてテーブルに運ぶだけだな」
最後にできた料理の味見をしながら、諸伏は満足そうに頷いた。
時間はちょうどミコトが帰宅する予定時刻の5分前。
俺はというと、料理がこんなに大変なものだったのかと思い知らされ、改めて毎日飯を作ってくれるミコトに頭が上がらねぇという気持ちになった。
「じゃあ、オレは帰るから」
「助かったぜヒロの旦那!この礼はまた必ずするからよ!なんでも奢るぜ!」
「楽しみにしているよ。
どんな反応だったか、今度また飲みながら聞かせて?
じゃあな」
そう言って手を振り、ミコトが帰ってくる前に諸伏は俺たちのマンションを後にした。
「よし。皿に盛り付けていくか…」
後もう一息だ。
そう意気込んで、出来上がった料理を皿に盛り付け、テーブルをセッティングしているときだった。
ガチャガチャッ…
「ただいまー」
玄関からミコトが帰宅する音と声が聞こえて、俺は思わずガタガタッと持っていたカトラリーを落としそうになる。
予想よりも数分早いご帰宅に、あからさまに動揺した俺は声を裏返しながらかろうじて返事をした。
「っおお!おかえり!」
やっべぇ!はやくテーブルに並べねえと!
と、慌ててテーブルの上に出来上がった料理や買ってきた洒落てる食器を並べ、テーブルの上がパーティーの装いへと変貌していく中、リビングダイニングのドアがゆっくりと開いた。
「陣平くん…?入って大丈夫?」
「えっ!?は?なにが??」
「なにがって…そんなに慌ててるから…」
と、俺のことをジロジロと怪しむように眺めるミコト。